榎本 剛 – Go Enomoto –

書道界の世代間ギャップは、キャリア理論で説明できる。

「最近の若い人は、向上心がない。」

 

書道界でも、そんな言葉を耳にすることがあります。

 

でも、本当にそうなのでしょうか。

 

国家資格キャリアコンサルタントの勉強で学んだ

「プロティアン・キャリア」という理論を知ったとき、

私は書道界で感じていた世代間ギャップの正体が腑に落ちました。

 

実は、若い人の価値観のせいではなく、「成功の定義」が変わっただけなのかもしれません。

 

 

「成功」の定義は変化している

 

プロティアン・キャリアは、アメリカの心理学者である

ダグラス・ホールが提唱したキャリア理論です。

 

昔の日本では、一つの会社に長く勤め、昇進し、

給料が上がることが「成功」だと考えられていました。

 

組織の中で評価され、上へ上へと昇っていくこと。

 

それが、伝統的なキャリアの価値観です。

 

一方、プロティアン・キャリアでは、キャリアの主人公は会社ではなく自分自身です。

 

成功とは、役職や年収ではありません。

 

「自分が納得できる人生を歩めているか」。

 

これを「心理的成功」と呼びます。

 

つまり、100人いれば100通りの成功があるという考え方です。

 

 

書道界にも、同じことが起きている

 

この理論を知ったとき、私は書道界のことを思い浮かべました。

 

これまで書道界では、

 

* 大きな賞を取る
* 会の役職に就く
* 教室を大きくする
* 多くの弟子を育てる
* 書道界で名を残す

 

こうした姿が「書家として成功した姿」とされてきました。

 

もちろん、それは素晴らしい道です。

 

その道を切り拓いてきた先生方がいたからこそ、今の書道文化があります。

 

ただ、その成功モデルだけが正解ではない時代になっています。

 

 

若い世代は「向上心」がないのではない

 

今の若い世代は、書道でもさまざまな成功を思い描いています。

 

例えば、

 

* SNSで作品を発信して、多くの人に書道の魅力を届けたい。
* 自宅で小さな書道教室を開きたい。
* 学校で書道を教えたい。
* 海外へ日本文化として発信したい。
* 趣味として、一生楽しみたい。

 

どれも立派な目標です。

 

でも、もし昔ながらの価値観だけで見れば、

 

「もっと会で上を目指しなさい。」

「役職に就かないの?」
「教室をもっと大きくしないの?」

 

という言葉になってしまいます。

 

すると若い世代は、

 

「それは私の目指す成功ではありません。」

 

と感じます。

 

これは向上心がないのではありません。

 

目指しているゴールが違うだけなのです。

 

 

私が書道界を離れた理由

 

実は私自身も、このことで長く悩みました。

 

書道界で役職につくこと。

 

組織の中で評価されること。

 

それも一つの素晴らしい人生です。

 

でも何度も自分に問いかけました。

「それは本当に、自分が歩みたい人生なのか。」

 

答えは「違う」でした。

 

私がやりたいのは、

 

書道を通して、より多くの人が自分らしく生きられるように支援すること。

 

キャリアコンサルタントとしての学びも活かしながら、

 

「字を書く技術」だけではなく、

「その人らしい人生」を支えられる書家でありたい。

 

そう思ったからです。

 

だから私は、自分の意思で書道会を離れる決断をしました。

 

 

間違っているのではなく、「違う」だけ

 

ここで誤解してほしくないのは、どちらかが正しい、

どちらかが間違っているという話ではないということです。

 

書道会で高みを目指す生き方も素晴らしい。

 

自分らしいスタイルで書道を楽しむ生き方も素晴らしい。

 

問題なのは、自分の成功を相手にも当てはめてしまうことです。

 

キャリアコンサルタントの学びには、「共感的理解」という考え方があります。

 

共感とは、相手と同じ考えになることではありません。

 

相手はどんな価値観を持ち、どんな景色を見ているのか。

それを理解しようとする姿勢です。

 

これは書道界だけでなく、会社でも、家庭でも、あらゆる人間関係に通じる考え方だと思います。

 

 

書道も、キャリアも、自分が主役でいい

 

プロティアン・キャリアを学んで、私は確信しました。

 

これからの時代は、「こうあるべき」という成功ではなく、

「自分はどうありたいか」を問い続ける時代です。

 

書道も同じです。

 

書道界で活躍することも一つの成功。

 

地域で教室を開くことも成功。

 

SNSで世界中に発信することも成功。

 

趣味として一生楽しむことも成功。

 

その人が「この人生でよかった」と思えるなら、それがその人にとっての成功です。

 

私は「キャリコン書家」として、書道とキャリアの両方を学び続けながら、

一人ひとりが自分らしい「書道人生」を歩めるよう応援していきたいと思います。

 

 

👇書家|榎本剛が主宰する書道教室はコチラから

「川崎教室」無料体験レッスン受付中
無料体験レッスン受付中

関連情報

コメントは受け付けていません。