榎本 剛 – Go Enomoto –

書道教室の選び方【保存版】

 

「書道教室の選び方が分からない」

という方向けに、
どのように教室を選ぶべきかについて、

指導者としての考え方をお話ししていきます。

 

基本的なことはネットを検索すれば、

いくらでも記事が出てくると思いますので、

今回は「先生の選び方」に着目しますね。

 

 

 

書道教室を選ぶ=先生を選ぶ

 

書道教室を選ぶということは、

先生を選ぶということです。

まあ至極当然のことですよね。

 

ただ、書道の先生は本当にピンキリなのです。

 

ピンキリというのは雑な言い方ですが、
ネットで書道教室を検索してみると、

相当な数がヒットしますし、
もとよりネット上にも無い教室(ex.先生が高齢など)

も無数に存在します。

 

皆さんは、書道教室と聞くと、

それを運営している先生は、

当然、師範資格を持った専門家だと思いますよね?

 

実は、ここが結構落とし穴になりがちな部分です。

 

なぜなら、書道師範というのは、

医師や弁護士のような国家資格のように、

国家レベルで定めた統一の資格基準はなく、

あくまで各団体(○○書道会など)の中で

定められた資格に過ぎないからです。

 

つまり、その団体自体のレベルや規模によって、

「師範」に求められるレベルが違うわけです。

 

これこそ、ピンキリと言った所以です。

 

では、全くの初心者の方が、数多ある書道教室の中で、
どのような部分に着目して探せば良いのか、

いくつかポイントを紹介しますね。

 

 

①先生の将来性

 

まずは、先生の年齢を見ましょう。

シンプルなことですが、非常に重要な点だと思います。

 

もちろん、皆さんが何を目的に書道をやるのかにもよりますが、
よく言われる「1万時間の法則※」に当てはめて、

仮に10年間取り組むとしましょう。

※物事を極めたエキスパートは、練習や努力に約1万時間を費やしていたという事例から導き出された

「人は何かを習得するのに1万時間の練習が必要である」という説、主張のこと。

 

例えば、先生の年齢が70歳だとします。
リタイアされてから教室を始める方も多く、

70歳前後の先生は割と多いです。

 

これから10年間習うとして、

10年後には先生は80歳になります。
残酷なことですが、

70歳と80歳では体の動きや脳の働きに違いが出てくるでしょう。

また、80歳ぐらいになれば、

「私もここが潮時かな」と廃業を考える先生も少なくないでしょう。

 

せっかく実力がついてきたと思った矢先、

「突然先生が教室を辞めてしまい、私はどうしたら良いのやら、、」

「また別の教室を探さないといけないのか、、」

現実にそういう状況に陥った方の話も耳にします。

最悪の場合、それを機に書道から離れてしまうこともあるでしょう。

 

 

加えて、

あなたが思ったより書道にハマってしまい、

書家を目指してみようと思い立ったとします。

 

書道の世界は、

高齢層の人口が多いため、

当然、いわゆる「お偉い先生」も70〜80代、

それどころか100歳超の先生もザラにいます。

 

その中で、自分の地位を上げていくのは、

なかなか至難の業です。

 

あなたが書道を初めて10年経ち、

他人にもある程度教えられるほどのレベルになり、
書道界(書道関係者の業界)でも顔見知りが増えてきた時、
ここでようやく一つのスタート地点になります。

(本当のスタート地点はまだ先なので、助走のスタートくらい?)

 

そのような「いざ、これからだ」という時に、

師匠が引退なんてことになれば、
まだまだどこの馬の骨かも分からない人間が、
その先書道界で生きていける可能性は極めて低くなるでしょう。

 

以上のことから、可能であれば、
40〜50代の先生の元で習うことが、
結構大事になってきます。

書道界では、40〜50代の先生は若造とされています。

 

先生もこれからバリバリやっていく、

脂の乗った世代ですので、

自分も先生と一緒に上を目指していけるわけですね。

 

 

 

②先生が作品を発表しているか

 

ここで例え話を入れましょう。

 

例えば、野球が上手になりたいとします。

あなたは誰に野球を教えて欲しいですか?

 

やっぱり大谷翔平選手?

それは難しそう。

でも、できることなら、

現役のプロ野球選手から直接習いたいですよね。

 

これと同じことをお話ししていきます。

 

書道の世界では、普段の練習とは別に、
作品を制作し、展覧会等で公に発表することで、
世間から評価され、地位を獲得していくことになります。

 

もちろん、展覧会に出さずとも、

個人で創作活動を行ない、

個展等で作品を発表している先生もいます。

 

ただ、開塾している先生が全員創作活動をしているわけではなく、
教室で教えることに特化している先生も沢山います。

 

特に、日展などの展覧会に作品を出し続ける先生というのは、
常に新しい価値を求めて、作品づくりのために勉強を重ね、
それを作品に落とし込めるように、ひたすらに書き込み、
〆切が来たら、また次の展覧会に向けて試行錯誤を重ねます。

 

つまり、常に上昇志向の中で、

ひたすらに頭と手をフル稼働させて、
成長を目指しているのです。

 

 

一方で、創作活動はせずに、

これまで得た知識や技能だけで教えている先生は、
一定度のレベルまでは、教えられると思いますが、
やがて天井が見えてくることでしょう。

 

自分はもっと上を目指したいのに、
「これ以上は私の手に負えない、他に行ってほしい」

と言われてしまうかもしれません。

 

 

③先生の技量

 

なかなか直接的なタイトルをつけていますが、

結論を先にお伝えすると、

「出来ればオールマイティな先生を探しましょう」ということです。

 

書道教室では、

一般的には師範資格を持った先生が教えているわけですが、
既述の通り、そもそも師範資格については、
それぞれの団体によって求められるレベルが違うため、

先生の技量はピンキリです。

 

また、先生も人間ですから、

いくら師範と言えども得意・不得意があるでしょう。

 

大抵の先生は、

これと決めた自分が得意な書体を用いた作品を発表し、

世間からの評価を得ようとします。

 

一方で、不得意な書体については、

普段の練習で書くことはあれど、
自分を表現する作品の題材に選ぶことは

無くなっていくでしょう。

 

そうなると、

得意な書体でしか作品を発表できずに、
やがて「この人はこの書体の人」

というイメージが出来上がります。

「この人と言ったらこれだよね」というのは、

ポジティブに聞こえる反面、
「この人これしかないのかな」と

ネガティブに捉えられる可能性あると思います。

 

 

また、その書体でしか評価されないと分かれば、

ますますその書体を突き詰めようとするでしょう。

 

加えて、

得意な書体に特化した先生の教室では、
先生が得意な書体で作品を発表する生徒が

自然と量産されていきます。

 

なぜなら、生徒が他の書体を書きたいと思っても、

先生がその書体を指導できないからです。

 

書道の世界では、

同じ会の人たちだけで展覧会を開催することがありますが、
上記のような先生が主宰する会では、

似たような作品が並ぶケースがしばしば見られます。

 

あなたが書道を総合的に習いたいとか、

何でも書けたらカッコいいな、と思うのであれば、
可能な限り、書体を選ばずに指導ができる先生を見つけて
その教室を訪ねてみるのが良いと思います。

 

 

これから書道教室を探す方へ

 

ここまでの話をまとめると、

書道の先生の見極めポイントとしては、

・何歳なのか

・現役で創作活動をしているのか

・オールマイティに書けるのか

これらが重要と考えています。

 

ただ、3点目については、

これから書道を始めるという方が、
例えばホームページに掲載されている

手本の写真等から判断しろと言われても、
なかなか難しいと思います。

 

そのため、問い合わせの時点で、
「こういう書体の作品が書いてみたい」とか

「どんな作品を書く生徒が多いか」など、
事前に聞いておくのが良いかと思われます。

 

「うちでは、こんな書体を書く人がいる一方で、

こういう書体で展覧会に入選した人もいる」
というようなニュアンスの返答があれば、期待出来ると思います。

 

あとは実際に体験に行ってみて、

まずは基本の四体(楷書・行書・草書・篆書)の手本を
書いて見せてもらうのが良いでしょう。

 

どんな書体も満遍なく書ける先生は、

なかなかいないのが実情ですが、
本気で書道をやってみたいという方は、

時間がかかってもそういう先生を探すべきだと思います。

 

以上、参考になりましたら幸いです。

 

この記事を書いた人

書家|榎本剛

1995年1月東京都大田区生まれ。
8歳で書道を始め、26歳で師範資格を取得。
同年、改組新第8回日展に初出品し即入選。
「本格の書道を、誰にでも分かりやすく」を信念に活動しております。
YouTubeチャンネル「書家・榎本剛 GO ENOMOTO」運営

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8歳から書道を継続して20年以上、
26歳で師範資格を取得
改組新第8回日展に初出品し入選
文字をキレイに格好良く書きたい人のために、
今日から使える書き方Tipsを発信しています
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